住職あいさつ

ようこそ慈唱院のHPにお越しくださいました。
当山は平成16年に伊賀の里、名張の旧町内の一角に新規建立された新しいお寺です。
檀家さんも無い小さなお寺ですが、縁あってご来山下さる皆様の信仰の場として、神仏の下に和気藹々と御参拝いただいています。

宗教離れが叫ばれるこの時代に、なぜにわざわざお寺を建立しようと思ったのか。
それは、「生きた信仰」を伝え、実践して行きたいと思ったからです。
私が信者さんに良くお話しすることが有ります。それは、
「人事を尽くして天命を待つ」
「信仰の究極は “感謝” と “懺悔”」
です。

金峯山修験本宗 紫雲山 慈唱院 住職 小澤 慧月

慈唱院 住職 小澤 慧月

少し私の話をさせてください。
私は、幼少の頃に「霊感」と呼ばれるものを授かり、神道系の先生や新宗教の先生などの指導を頂きました。
高校生の頃には醍醐三宝院の奥駈修行にご縁を頂き、その頃から信者さんと呼べる方も出てきました。
しかし、所謂「拝みや」として生き、修行を重ねる覚悟もなく、自分の夢を追いかけて東京に出ました。

幼少時代

幼少時代

高校生の頃 醍醐三宝院の奥駈修行へ

高校生の頃 醍醐三宝院の奥駈修行へ

東京では、役者を目指して学校や養成所に通い、自分なりに努力を重ねました。
お陰様で、声優やCM、商業演劇のお仕事を頂き、劇団の主宰をさせて頂いたこともありました。

当時本当に一生懸命努力もしましたが、その一方で、有名俳優の方や事務所の社長、友人たちとの関係に於いて「霊感」を一つの道具のように使ってしまっていた自分がいました。

順調にお仕事も頂き、大きな役も頂けるような話が出てきたころ、大きな人生の転機を迎え、今まで頑張ってきた役者の道を辞めなくてはいけなくなりました。多くの友人達も失い、面倒を見て下さっていた醍醐寺の先生方にもご迷惑をおかけしました。

役者時代

役者時代


役者時代

役者時代

役者時代

役者時代


役者時代の主な出演作品

役者時代の主な出演舞台作品

全てを語るわけにはいきませんが、当時の私には今まで歩んできた人生の全てを失ったような出来事でした。
「霊感で人を助けてきた」つもりでいた私は、理不尽を呪い、神仏を恨み、一度は信仰というものを放り出しました。

しかし、実家に戻り料理の仕事につきながら日を送るうちに、かつての自分が如何に傲慢で、神仏に対して不誠実であったか。神仏より授かった力を自分の手柄のように錯覚して尊大になっていたかを気づかせて頂きました。

そこから、私の信仰のやり直しが始まります。
不思議なご縁で吉野に導いて頂き、金峯山寺の門をたたいて吉野修験の末葉に加えて頂きました。

そんな迷惑をかけながら、失敗を続けている私ですが、神仏は決して見捨てる事無く、辛抱強く導いて下さいます。

金峯山寺大峯奥駈修行

金峯山寺大峯奥駈修行

伝法潅頂会

伝法潅頂会

「霊感」は優れた道具ですが、「よく当たる占い」と同じで其れによって人を救うことは出来ません。
どんなに優れた霊能者や宗教者も、アドバイスは出来ても、他人の人生を代りに歩くことは出来ないからです。
自分の人生を切り開き、歩むのは自分自身です。

様々な経験の中から、私は断言できることが有ります。それは、
「神仏は、無駄なことは決して経験させない」ということです。

結果、私は役者として人生を歩むことは出来ませんでしたが、役者を目指し努力を重ねた中で得た経験や知識は、僧侶として大きな糧となっています。
多くの人に心配や迷惑を掛けた事も有りましたが、その事への“懺悔”の心が有るからこそ、今は大きく道を外すことなく歩んでいくことが出来ます。

“ 人事を尽くす ”
生きていく中で、辛い事や悲しい事、儘ならない事は多くあります。
しかし、その中にこそ自分を成長させる大きなヒントや経験が有ります。
“懺悔” は次の自分の一歩を踏み出すための道しるべ。他人のせいにしたり、妬み恨んでいるだけでは人生は前に進みません。

分かってはいるけれど、一朝一夕にできる事ではありません。
そんな四苦八苦している自分を笑う人や誹る人、裏切り離れていく人もいるでしょう。
でも、ご飯を作ってくれたり、心配してくれる友人や家族、隔てなく注ぐ太陽や雨。
当たり前ではない当たり前に “感謝” の心をむけてみると、有る事難い「幸せ」が見えてきます。

そんな「心」を作っていくのが「信仰」だと私は思っています。
その為の学びの場所が「お寺」です。

紫雲山 慈唱院

そうして一生懸命に自分の人生を自分の足で “人事を尽くして” 歩もうとする人を、神仏は見捨てたりはしません。
決して甘やかしてくれるわけではありませんが、きっとその人の事を思いやった “天命” を与えてくださいます。

胸を張って、神仏に“天命”を願える信仰、祷りを紡いで行けるお寺でありたいと願っています。
そして、「慈唱院」の仏様の前に集う皆さんが、良いご縁で結ばれますよう微力ながら精進してまいります。

慈唱院 一世住職 慧月 合掌

金峯山修験本宗 紫雲山 慈唱院 住職 小澤慧月

金峯山修験本宗 紫雲山 慈唱院
住職 小澤 慧月(こざわ けいげつ)

  • 金峯山青年僧の会 会長
  • 全日本仏教青年会 副理事長

1975年 三重県名張市生まれ。
高校を卒業後、アニメ声優として活躍するほか、俳優としても商業演劇の舞台に多数出演し、劇団を主宰したこともあった。故桂枝雀師とのご縁がきっかけで落語にも縁を持つ。

平成12年
25歳で芸能界を引退。その後、縁あって金峯山寺にて得度受戒。
平成15年
金峯山寺修養科に入行、同年6月護摩加行成満。
平成16年
5月 慈唱院を開山。
平成28年
金峯山青年僧の会第12代会長に就任。

趣味は演劇や音楽。鑑賞に止まらずライブを開催したり、落語の会を催したりもしている。