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令和2年秋入峯 前鬼⑤

天の二十八宿を過ぎると先ほど通ってきた屏風の横掛けの上部を戻るような形で三重滝(みかさねのたき)の最上段である馬頭滝(まとうのたき)を目指します。
今回は写真を取り忘れてしまったのですが、この道中に「鷲の窟」があります。
鷲の窟といえば夏期入峯修行のブログ でも紹介しましたが、大普賢岳の麓、笙の窟の隣に有るものが有名です。
御開祖役行者の御影といえば、先端のとがった磐座を背にして座すお姿を多くお見掛けしますが、これは鷲の窟(岩屋)に座す姿だと言われます。

前述の通り、有名なのは大普賢岳麓のものですが、この前鬼の裏行場に有る鷲の窟もその候補とされている場所です。

鷲の窟を過ぎて暫く進むと馬頭滝の滝壺からの流れに降り立ちます。
目の前には千手滝とは趣の全く違う趣の一筋の大きな滝が流れ落ちています。
これが三重滝の最上段「馬頭滝」(まとうのたき)です。

天候や水量などのご縁が整い、厳しい行場を超えなければ辿り着くことが出来ないお滝を拝することが出来た感慨もひとしおに、感謝の勤行を上げさせて頂きます。

私は以前からこの三重滝の順番や名称に疑問を感じていました。
下段の不動(明王・金剛部)・中段に千手観音(蓮華部)ときてどうして最上段が薬師や前鬼とも縁の深い釈迦などの(佛部)の仏様ではないのか?
なぜ蓮華王ともいわれる千手さんの上に馬頭さんが居られるのか?

しかし最近この三重滝が、自他の魔縁を調伏する不動明王、大慈大悲の千手観音と連なり、そして慈悲を司る蓮華部の尊でありながら、教令輪身として憤怒の姿をとって衆生の無知・煩悩を排除し、諸悪を調伏する馬頭観音が最上段に居られることが、如何にも修験道らしいなと妙に得心しています。

馬頭滝を後に、滝の左側から登った肩を今度は一気に下ります。
この下りは道なき道。とても滑りやすいうえに石も落としやすく転倒やケガの多い場所なので気を付けなければいけません。
下り終えれば、杖を預けた本ルートに合流します。

そこからは再び垢離取り場からの川を渡って来たルートを戻るのですが…行きは良い良い帰りは恐い・・・。
閼伽坂地蔵から延々下ったルートを登り返すことになります。
掛け念仏を掛けながらこまめに息を整える程度の休憩を取って、なるべくペースを乱さないように登って行きます。
どうにか大きく遅れるメンバーも出ずに小仲坊さんまで帰って来ることが出来ました。

みんなの晴れやかな顔が何よりの修行の成果です。
サポートの講員さんや、故障で途中で引き返してもらった参加者も「待つ修行」という修行を一緒にして頂きました。

全員で小仲坊の本堂に満行お礼の御法楽を上げさせて頂きます。
その後、参加者や信徒様からお預かりした御寄進を五鬼助さんにお渡しさせて頂きました。
この寄進は、コロナの影響で各本山や護持院の奥駈けも中止となり、宿泊や参拝が減ってしまった小仲坊様に少しでも用立てて頂ければと、慈唱院の信徒有志で集めたものです。

その後、五鬼助ご夫妻と恒例の記念撮影。

前鬼は本当に気持ちのいいところで、本来であれば一泊して五鬼助ご夫妻の貴重なお話を聞きながらの酒盛りや、満天の星空、鳥のさえずりと川のせせらぎに包まれた早朝の止観(座禅)等を満喫させて頂きたいところですが、本年はコロナで宿泊はご遠慮させて頂くことに。
無い後ろ髪を引かれながら、お見送り頂く五鬼助ご夫妻にお別れを告げて一路直会会場の山鳩湯へ。

前鬼の林道から国道169号線をひた走り、最早慈唱院の入峯修行では拝所の一つとなっている感のある山鳩湯さんのお不動様に御法楽。商売の繁盛と館内の安全をご祈念申し上げたら楽しみの温泉へ!

これが入之波温泉(しおのはおんせん)の名湯。
山鳩湯さんの温泉は、惜しげもなくダバダバとかけ流した源泉が浴槽を満たして我々をいやしてくれます。

入浴後は満行のお祝いと親睦を兼ねての直会。
いつもお鍋をご用意いただくのですが、今回は山鳩湯さんのもう一つの名物「釜めし」をご用意いただきました。
写真は小鮎と山菜ですが他に猪肉などもあって、好みのものを事前にオーダーさせて頂きました。

縁あって山外から参加してくれた聖護院の行者さんに乾杯のあいさつを頂き、その後は美味しい料理にお酒も進みながらの感想大会。
日帰りの短い修行会でしたが、参加の皆様其々に楽しんでご修行頂けたようで、ご案内した身としては何より有難い事でした。

楽しい時間はあっと言う間に過ぎ去り、お開きの時間に。
参加者の健勝と又の再開を願って一本締め!
いつもご無理をお願いする山鳩湯の中村さんご一家にお礼を申し上げて一路慈唱院へ。

一時間半の道のりを経て慈唱院に到着。
御本尊様に帰着のご報告と、無魔成満の御礼を申し上げて解散となります。
次回には新型コロナも沈静して、例年通りの修行が出来る事を切に願って今修行の報告ブログを終えさせて頂きます。お読みいただき有難うございました。

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