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令和2年秋入峯修行 前鬼③

前鬼川を渡った後は5mほど登って三重滝(みかさねのたき)へのルートに合流します。
暫く進むと三重滝の最上段「馬頭の滝」から下ってくるポイントに到着。
この先は両手を使って進まなければならない行場などもあるので、金剛杖はこの場所に置いておきます。
詳しい場所については先達さんに教えて貰ってくださいね(^^)

暫く進むとルートはしっかりとした階段を使用して谷へ下って行きます。
何気なく下って行きますが、階段が無ければ途中からは下れない断崖です。
階段を下り終えると前方に雄大な滝が迎えてくれます。

この滝が三重滝の2段目の「千手滝」です。
現在のルートは1段目でも3段目でもなく、真ん中に降りて来るのですが、かつては1段目の「不動滝」の下から登ってきていました。残念ながら現在は不動滝の下に向かうルートは崩落などで失われています。
そこで、先ずは不動滝を拝する為に千手滝から流れてくる沢を下流に向かいます。

少し下流に進めば、切れ落ちた三重滝の1段目である「不動滝」の落ち口に行き当たります。
かつては、この不動滝の下から「地の三十六禽(ちのさんじゅうろっきん)」という断崖に架かる鎖梯子の行場を経てこの千手滝に上ってきました。
三十六禽とは、一昼夜の子の刻から亥の刻迄の12の時刻にそれぞれ、主1体、眷属2体の獣を配したものです。
例えば現在の23時から1時頃に当たる子の刻の主は鼠、眷属は燕と伏翼(コウモリ)となります。

この三十六禽は陰陽道などでは日時・方位を司って卜占に用いますが、仏教的には昼夜に行者の身心を悩まし、発心を挫く障礙の者とされています。
地の三十六禽を攀じ超えるとは正に我々が地に足をついて生活する中に於いて、払っても払っても湧き出てくる「身苦・煩悩」を超える事なのでしょう。

不動滝を拝した後、眼前の千手滝に勤行をお上げして記念撮影。
千手滝とはよく言ったもので、裾に幾条にも広がる水の流れが美しい滝です。
こうなると、1段目の不動滝をいつかは下から拝してみたいと思いに駆られます。

この辺りには窟が幾つかあってお篭もりの修行が行われていましたが、その中でも代表的なものがこれから向かう「金剛界窟」と「胎蔵界窟」です。

千手滝を巻くように登り上げると、2つの大きな窟が口を開けています。
これが金剛界の窟と胎蔵界の窟です。
現在、向かって右側を金剛界の窟、左側の滝に近い方を胎蔵界の窟と伝えていますが、逆の伝も有ります。
胎蔵界の窟には役行者がお祀りされていて、今でも篭もられる行者さんが居られます。
日も当たり、すぐ隣の千手滝の水を得られるので、篭もるには良い窟だと思いますが、反対の金剛界の窟は隣り合っているのに、少々陰気であまり近寄りたくない雰囲気を醸し出しています。

お勤めをさせていただき、窟に備えて下さっている柄杓で千手滝のお水を少し頂きます。

ここから同じルートを少し下って分岐に分け入れば、いよいよ屏風の横掛け・天の二十八宿への行場へと進むことになりますが、今回はここまで。
次回に続きます。

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