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令和2年秋入峯修行 前鬼②

小仲坊さんの脇から旧森本坊、五鬼継家住居跡を過ぎ、昔の田畑の石垣が残るミツマタの群落を抜けて暫くすると道は山道に。
落ち葉の降り積もった道はふかふかで気持ちよいのですが、意外と滑りやすいので注意が必要です。

幾つかガレている沢を渡って、少しの急登を登れば閼伽坂峠に到着。
ここまで凡そ30分の行程です。
閼伽とは梵語の「アルギャ」の音写で仏様にお供えするお水を表します。

この場所は裏行場への女人結界となっていて、かつてはこれより先に女性は立ち入る事が出来ませんでした。
また、ここは辻にもなっていて、お地蔵様の裏手の尾根を辿れば、これまた前鬼の表行場である釈迦ヶ岳方面の女人結界であった二ツ石に向かうことが出来ます。

かつての結界を守護し、行場の安全を導いて下さる「閼伽坂地蔵」様にお勤めさせて頂き、次の目的地である「垢離取り場」を目指します。

峠を過ぎて暫く進むと道は右手の谷へと大きく下って行きます。
しかし、前方道なりの方へも薄く獣道が付いています。間違えてこの獣道に入ってしまうと孔雀岳の裾の広大な谷へ迷い込んでしまいますので注意が必要です。

暫く下って行くと樹林の間から孔雀岳と五百羅漢の岩峰達を拝することが出来ます。

          孔雀岳方面 五百羅漢

ひたすら谷を下って整備された階段を降りて行くと大きな谷を渡ります。
ここまで来れば目指す「垢離取り場」まではもうひと下りです。

沢の水音とエメラルドグリーンの水場が近づいてきました。
垢離取り場まではあと少し。
川原に降りれば左手の上流方向へ岩場を渡って進みます。
閼伽坂峠から30分延々の下りです。

無事に垢離取り場に到着。
垢離とは身と心の穢れを祓い清める事で、滝に打たれたり水を被ったりすることを「水垢離」、海に浸かる「潮垢離」、熊野本宮に参拝する前の湯の峰温泉など、湯に浸かって行う事を「湯垢離」といい、この垢離取り場は正しくこの淵に身を浴して心身の汚れを清める行場です。

本来であれば我々もこの清水に浴さなければいけないのですが、一般の女性も居られ、時間の制約も有りますので今回は勤行を上げさせて頂くのみ。

水が綺麗なのでそうは見えませんが、奥の小さく見える滝の下は深さ3Ⅿ以上もある滝壺になっていて、手前の方でも胸あたりの水位が有ります。

いざ浸かれば、真夏でも身を切るような冷たさで般若心経一巻を唱えるうちに見る見る顎がガクガクと震えだします。

勤行も終わり、ここから先は本格的な行場道となってきますので、少し早めの昼食を取らせて頂きます。

天気も良く、初秋の気持ちいい景色の中でこの時ばかりは少々行楽気分です。

参加者の皆さんに食事休憩を取って頂いてる間に、奉行衆は緊急ミーティング。
本来であれば垢離取り場の浅瀬から対岸に渡るはずが、水量はそれほど多くないにも関わらず、先年の台風や大雨で堆積していた砂利が流されてしまい、腰より上、女性であれば胸あたりまで水に浸からなければ渡れない状態に・・・。

そこで、少々石が滑って危険ではあるけれど、水流がそれほど強くないようであれば少し下流の岩場を渡る事に。

好事魔多し。下見をしていた奉行さんの一人が飛び石で足を滑らせて負傷してしまいました。
幸い骨や大きな筋に損傷はなさそうですが、小さな筋が切れる程度に酷くひねってしまっているようなので、薬事奉行さんに応急手当をしてもらって小仲坊さんに引き返してもらうことに。
裏行場の道はアップダウンや危険個所も多いので残念ですが仕方ありません。
行くも修行、止めるも修行とはよく言ったものです。

方針も決まったので参加者全員で垢離取り場から少し下流に移動して川を渡ります。
飛び石を慎重に移動して渡川場所へ。
浅い岩場ですが、上流は深い淵。下流は低い滝になっているうえ、石が滑りやすく足場が良くありません。
杖を用いて安全を確保しながら慎重にわたって行きます。
(写真は帰りの渡川の様子で行きは逆方向に渡ります)

全員が無事に渡り終えていよいよ裏行場、三重滝の道に取り付きます。
と言うわけで、続きます。次回は行場に入って行きます。

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