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令和2年秋入峯修行 前鬼①

すっかり更新が遅くなってしまいましたが、去る令和2年10月3日(土)
慈唱院の秋入峯修行が開催されました。
本年は日帰り行程で前鬼の裏行場を修行させて頂きました。

午前5時、未だ明け遣らぬ本堂に読経の声が響きます。
令和2年秋入峯修行に先立って、参加者19名とサポート部隊の講員さんが慈唱院本堂に集合して、峯中安全・行願円満と併せて新型コロナウイルス早期鎮静を祈っての勤行です。

今回は、参加者19名中8名が初めて入峯修行に参加される「新客」さんという事もあって、勤行が終わった後、修行の心構えや峯中での諸注意が大先達や奉行から詳しく説明され、皆さん真剣に耳を傾けて居られます。

一通りの説明が終わると、車両サポートの講員さんを含め四台の車に分乗していよいよ出発。
下北山村の前鬼まで約3時間の道のりです。

本来は前鬼林道の途中にある車止めから小仲坊さんまで二キロ程度の道のりを30分ほど歩かなければいけないのですが、ご住職の五鬼助さんのご厚意で車を上げて頂けることに。
しかも、本当はお昼ごろに大阪からお越しになる予定を車止めのカギを開けて下さる為に我々の時間に合わせて朝からお越し下さることに・・・。
泊りもさせて頂かないのに有難いやら申し訳ないやら・・・

途中で休憩を挟みながら、五鬼助ご夫妻とのお約束時間前に前鬼口に到着!
七重の滝の広場辺りでお待ちしてようかな・・・
と思っていたら自分たちの数台前に前鬼橋を渡って右折する大阪ナンバーの車・・・!!!なんと、もう五鬼助さんが林道に入って行かれます。

お待ちするつもりが後を追う事に・・・。
それにしても、早い早い!いくら慣れられた道とは言え、五鬼助さんお幾つでしたっけ!?
自分も決して山道は苦手な方では無いですが、油断すると目の前からあっと言う間に消えて行ってしまいます。

暫く走ると、五鬼助ご夫妻が車から降りて何やら作業をされているところに追いつきました。
小仲坊に向かう道すがら、落石を取り除いたり陥没を小石で埋めたり、落ち葉をブロワーで飛ばされたり・・・
道路のメンテナンスをされていましたので微力ながらみんなで少しだけお手伝いさせて頂きました。
それにしても、1300年の里を守って頂くのは宿坊の事だけではなく、本当に細々とした事までご尽力頂いての事なのだと改めて頭の下がる思いです。

いよいよ、小仲坊に到着。
五鬼助ご夫妻が手早く本堂や本坊を開けて下さいます。
一行は本堂前に集合して、大先達から前鬼山や小仲坊・五鬼助家の歴史や謂れの説明を伺った後、裏行場へ駈け入りの勤行を上げさせて頂きます。

前鬼の里は役行者の弟子(従者)であった前鬼・後鬼の夫婦によって開かれました。
大宝元年(701)役行者が箕面の天井岳において昇天される時、前鬼後鬼も共に従いたいと願いますが、役行者は「大峯に残って後の修行者の便を図れ」と遺言されます。
そこで前鬼後鬼の夫婦は釈迦が岳の麓に住んで五人の子供を儲けて里を開きます。それが前鬼の里です。

五人の子供は、五鬼助《小仲坊》・五鬼継《森本坊》・五鬼上《中之坊》・五鬼童《不動坊》・五鬼熊《行者坊》と五鬼の姓を頂き、其々に宿坊を営んで修行者を先達し、宿泊や食事の便を図り、また人々の望みに応えて加持祈祷を行って、里は修行者や五坊を慕って住み着く人で大変に栄えます。

前鬼の五坊の当主は大変な権威を誇り、江戸時代には紀州徳川家の御前に登城する時にも帯刀を許され、平身低頭を免除されていたそうです。

しかし、明治の神仏分離令・修験道禁止令によって修験道が禁止されると大きな打撃を受けます。
また当時、麓の集落からも峠道しかなく生活の近代化から取り残されていく里から、間もなく行者坊・不動坊・中之坊が退転。
昭和40年代半ばには森本坊も退転し、現在は五鬼助家のみが役行者の遺訓を守って61代に亘って小仲坊を護持下さっています。

この小仲坊さんが無ければ現在の奥駈修行は成り立ちませんし、釈迦が岳周辺の入峯もたちまち難儀する事になります。
本当に足を向けては寝られませんが、当の五鬼助夫妻は
「普段大阪で生活はしててもここが里やからね。お正月もお盆も子供たちもここに帰って来る。それが当たり前。」
と平然と語られて毎週末大阪から前鬼に帰って来られます。

息子さんが62代目として小仲坊を受け継いでくださる事が決まっていますが、何時までもお元気でいてくださる事を祈るばかりです。

ついつい五鬼助さんのことを熱く書いてしまいましたが、これからいよいよ裏行場へ向かわせて頂きます。

本坊の横を通り抜けていざ出発!というところで次回につづきます・・・(^^;

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